長距離バスの移動
 ちょっとした距離の移動はいつもクルマを使うので、新幹線や飛行機に乗ることはあっても寝台バス、長距離バス、高速バスといったバス移動はしたことがありません。バスの魅力は運賃が安いことですが、その分、時間がかかります。また、新幹線や飛行機と違い、バスは揺れや音が独特なので、細かい文字を読むとクルマ酔いするのでは?という不安もつきまといます。

 本も読めない、仕事もできない。そんな状態で3時間以上なんてあり得ない。自分でクルマを運転しても、本は読めないのですが、バスは定刻に合わせて団体行動しなければならない窮屈さがあり、これまでどうしてもトライすることができませんでした。

 しかし、仕事のスケジュールの関係で、先日ついに3時間半という乗車時間の高速バスに乗ることになりました。3時間半は、長距離バス系では“短距離”なのでしょう。ただ、初体験の私としてはかなり緊張します。トイレはついている、途中でいちどSA休憩があるという情報を得て、いざ、乗り込みました。
     
 持ち込んだのは、飲み物と音楽用イヤホンです。クルマなら好きな曲を大きな音でかけられるものの、バスではイヤホンなしで音楽も聞けないのですから忘れるわけにはいきません。そして、もしかしたら書類が読めるかも? というかすかな期待のもとにiPadもカバンに忍ばせました。

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 するとどうでしょう。長距離バスは、これまでのイヤイヤ感はなんだったのかというほどに快適だったのです。隣の席が空席でゆったり座れたこともあるのですが、高い視点から見える外の景色はわくわくします。しかも、高速バスはほぼ直線を一定速度で走るため揺れが少なく、書類もしっかり読むことができました。


ゴール時間を設定する
 ここでいくつかの発見がありました。こうした移動中は仕事がはかどるのです。高速バスや新幹線などのいわゆる閉鎖空間では、まわりに雑誌や掃除道具などの逃避行動ができるものがありません(ふだんは苦手な掃除も、こういうときはなぜか無性にやりたくなります)。しかも、さりげなくまわりの人の目があると、目の前の仕事に集中しようという気持ちが働くようです。

 もうひとつ、高速バスや新幹線で移動するときは“終わりの時間”が決まっているため、それまでに終えなければと気合が入ることもあるのでしょう。私の場合、「to do list」を作っても、うまくいかないことが多いものの、「何時までに終わらせる」という時間目標を設定すると、集中力がでるようです(私の場合です)。

 気になって、まわりにいるいわゆる意識高い系の若手起業家の方にそれとなく聞いてみると、やはり学生時代から「何時までに」という目標をたてながらスケジュールを組んで勉強していた人が多いことがわかりました。

 集中力の高め方は人それぞれですが、これからは、積極的にゴール時間を決めて取り組んでみようと思います。


モータージャーナリスト・ノンフイクション作家 岩貞るみこ
企画編集:三井住友海上火災保険株式会社 営業推進部・モーターチャネル推進チーム 
     エーシー企画株式会社