ACホットライン 松永 博司 氏の記事の一覧

松永 博司氏(株式会社ジェイシーレゾナンス 代表取締役社長)のプロフィール

シナジーデザイン株式会社


コンベンションの事務局長や企画委員をはじめ、自動車・交通関連の業界団体のアドバイザー、企業などのコンサルティングや講演を行うなどアフターマーケットの維持発展に向け、精力的に活動を行っています。幅広い活動の中で得た様々な情報をもとに今後のアフターマーケットの展望を掲載させていただきます。

■現職
株式会社ジェイシーレゾナンス 代表取締役社長
国際オートアフターマーケットEXPO 運営事務局長
国際自動車通信技術展    運営事務局長
スマートモビリティアジア 企画委員
オートアフターマーケット連絡協議会 事務局長 
アフターマーケットサプライヤー活性会委員会 事務局長
スマートモビリティ推進コンソーシアム 事務局長
など2016年12月1日現在

カテゴリ:プロフィール

78件中 1~5件を表示中

公開日時:2024-04-18 08:00

執筆者:松永 博司 氏

これからのアフターマーケット2030『人材の確保と高度化』

整備人材の獲得が難しいと言われて久しい昨今ですが、抜本的な対策が見えない状況の中で、特定整備認証やOBD検査のプレ運用など事業環境はどんどん変化しています。

一方で自動車の平均車齢や平均使用年数は着実に伸びており、従来の分解整備領域の対応が多い車両と、安全運転支援装置をはじめユーザーインターフェイスにおいてもデジタル化が進み、電子制御装置整備をはじめ新しい整備領域の知識や設備・技術が必要な車両の混在が進んでいます。

さらにパワートレインにおいてもBEVのみならず燃料電池車両や合成燃料を用いる車両など、多様化していく様相の中で自動車アフターマーケットの今後を見通すことの難しさが増してきていると感じています。

このような背景の中で、従来の業務形態を全く変えずに、いままで同様の人材採用活動を行い、人材教育をしていこうとしているとしたら、いくら高給で人材を募集したとしても意味が無いのではないかと思います。先日、NHKで「おしゃれ」というコンセプトを取り入れて事業の活性化をはかった長崎県の警備会社の話が放映されていました。「ガワをかっこよくすることによって自分もそれに合わせないといけなくなくなるから、ガワをかっこよく変えれば、マインドも変わるんじゃないか」と考えて、様々な取り組みを実践している社長の話で、SNSを活用し若手の採用も行って、6年前に経営を引き継いでから売上を2倍にすることができたそうです。「おしゃれ」をコンセプトに制服のみならず、警備員の動作に至るまで独自の警備スタイルを構築し、社員と共鳴できているところに感心しました。

行政機関も社会インフラとして重要な自動車整備業界の人材不足を問題として取り上げ、様々な取り組みが実践されつつありますが、即効薬が見いだせているとは言えません。これからも慢性的な人材不足が続くのは約束されています。OSSなどデジタルトランスフォーメーションを推進することで効率化も図っていく必要があるのは前提ですが、それが即ち人材不足の解決になるはずもありません。

ますます変化していく事業環境と、これからも進化していく自動車に対応した人材をいかに確保していくのか。さらに現在働いてくれているスタッフの知識や技術・対応力などの高度化を、どのように進めていくのか。

もう先送りできるタイミングではありませんので正面から捉えて、構造的な視点で対応策を検討すべきではないでしょうか。

㈱ジェイシーレゾナンス 代表取締役社長 松永博司

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本業に役立つ!施策一覧 にも掲載していますので、以下リンク先から詳細をご確認ください!

自動車関連事業特化型コンサルによる個別支援
外国人材、国内人材採用支援
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三井住友海上火災保険㈱リテールマーケット戦略部 MC推進チーム 企画編集/エーシー企画

カテゴリ:経営

公開日時:2024-02-15 08:00

執筆者:松永 博司 氏

これからのアフターマーケット2030『OBD検査の影響』


10月からはじまるOBD検査にむけて、OBD検査の対象車以外でも特定DTC確認の模擬が行えるプレ運用が、現在実施可能な時期であることは多くの自動車整備事業者が理解していると思います。しかし、実際にOBD検査対象車両がどの程度の割合で入庫し、特定DTCが検出されるようなケースがどの程度発生するのか、を考えると「車検・整備事業」よりも、「中古車の売買」や「車体整備」、「用品販売やカスタマイズ」といった事業の方が、真剣に対応を考えてプレ運用を行ってみる必要があるのではないでしょうか。

ポイントは入庫車両に対するOBD検査対象車の割合です。新車よりも価格が高い、というような異常な価格の車両のこともニュースになったりしましたが、中古車の売買で高額で取引されるのは新しい車が多く、当然OBD検査の対象車も含まれていくでしょう。
また、経済的全損してしまうような車両では無く、しっかりと修理を行うのは、高年式車が多いのではないでしょうか。

さらにレーダー探知機やエンジンスターターなどのアクセサリーの装着や、カスタマイズは新車を購入した際に施すケースが多く、やはりOBD検査対象車を扱うことが予想されます。

OBD検査に関する準備会合が行われるたびに「プレ運用であきらかになった課題」が公表されていますが、そのなかで繰り返し出てくる事例として、データリンクコネクターに外部装置が装着されているケースが報告されており、このような状態では受験できないことを明確化する、とのことですから用品販売やカスタマイズの現場は大変ではないでしょうか。

いずれにせよ10月からはじまるOBD検査は、車検・整備事業のみならず幅広い自動車アフターマーケット事業に影響を及ぼします。

本番開始まであと半年に迫ったOBD検査にむけて、正しい情報を収集し、正しい危機感を持つために、来月はぜひ東京ビッグサイトにお越しください。法令遵守ではなく法令厳守しないと足元をすくわれる時代に勝ち残っていくために、年度末の忙しい時期であったとしましても3月5日(火)〜7日(木)の3日間、是非東京にいらしてください。

従来の車両、電子制御装置整備の対象車両、OBD検査の対象車両、それぞれ保安基準の対象装置が異なる車両が混在していく状況の中で、車検・整備のみならず車両流通も、車体整備も、部用品の販売も、法令厳守で事業を継続させていく体制を作るために、必ず役に立つ情報が得られます。

過去最大の規模で開催できる見通しとなった国際オートアフターマーケットEXPOの事務局長として、精一杯の準備をして皆様のお越しをお待ちしております。

第21回 国際オートアフターマーケットEXPO 2024
来場事前登録はこちら   

㈱ジェイシーレゾナンス 代表取締役社長 松永博司
営業推進部MC推進チーム 企画編集/エーシー企画(株)FAX:03-3259-9505

カテゴリ:経営

公開日時:2024-01-18 08:00

執筆者:松永 博司 氏

これからのアフターマーケット2030『「検査」と「整備」がかわるとき』

1995年の法改正で車検が前検査・後整備で良いと変わったとき、業界に大きな影響が出ると言われていました。自動車整備業界は法定需要に支えられていますから、法律の改正はとても大きなインパクトをもたらしますが、30年近く前の話ですので覚えている方も少ないのではないでしょうか。

しかし、2024年10月から運用開始されるOBD検査は、前検査・後整備になった時とは本質的な意味が違います。自動車の進化に対応し、電子制御装置整備を規定して整備の枠組みから変え、自動車整備に関わる認証制度も分解整備から特定整備へと領域を拡大させたことで、自動車ガラスや電装品店などまで認証の対象になりましたし、カーディテイリングショップでさえ電子制御装置整備の認証を受ける事業者が出てきました。自動車整備事業者においてもスキャンツールなどの設備投資をはじめ、エーミングなど電子制御装置整備に対応するための技術習得など、対応しなければならないことがとても多くなっていると思います。

また、お客様に対応するフロント業務も従来とは異なる知識が求められ、お客様への説明も入庫してくる車両にあわせて変えていかねばなりません。自動ブレーキやレーンキープといった機能に関わる装置にも保安基準が設定されている電子制御装置整備の対象車と、OBD検査を実施しなくてはならないOBD検査対象車は異なりますから、従来の電子制御装置整備もOBD検査も非対象の車両と、電子制御装置整備対象車だがOBD検査の対象ではない車両、電子制御装置整備もOBD検査も対象となる車両などに分類して、異なる基準に対応しながら整備や点検・検査についてお客様に説明する必要が生じるわけです。

「いつまで乗るかわからないからできるだけ安く車検を通したい」と希望されるお客様の車両が、電子制御装置整備対象車なのか、OBD検査対象車なのかを確認をしてから、自社でできる整備なのか、外注が必要なものなのかを考えながら、電話対応することを想像すると、本当に大変なフロント業務になっていくなぁと思うのは私だけでしょうか。法定需要に支えられた自動車整備業界だからこそ、ルールの変化にしっかりと対応していかねばならないのは自明の理です。

以前さまざまなところで「自動車整備の再定義」という話をさせていただきましたが、「検査」と「整備」が変わる今、自動車整備業界の地殻変動が起こるのだという認識を持って準備を進めて頂きたいと思います。

(株)ジェイシーレゾナンス 代表取締役 松永博司
三井住友海上火災保険(株)営業推進部MC推進チーム 企画編集/エーシー企画(株)

カテゴリ:経営

公開日時:2023-11-16 08:00

執筆者:松永 博司 氏

これからのアフターマーケット2030『懐かしの東京モーターショー』

Japan Mobility Showに行ってきました。様々なメディアではEV最大手のBYDが出展!など、EV関連の記事が多く目につくような気がしますが、自動車アフターマーケット関連に興味がある身としては、カー用品市場で流通するフロアマットのメーカーやDPFの洗浄関連ケミカルなどから水素を利用した珈琲の焙煎機まで、以前の東京モーターショーでは考えられなかった内容だと妙に感心したりして見てきました。

従来の東京モーターショー的なイメージで印象に残ったのはMAZDAのICONIC SPで、やはりクルマはデザインだなぁと再認識させられましたし、Japan Mobility Showに名称が変わったことを象徴していた展示としては、ホンダブースのホンダジェットが記憶に残りました。

しかし、私が一番感慨深かったのは関係者の駐車場で目撃したBMW 635CSiでした。30年以上前のものとは思えない手入れの行き届いた綺麗さに、ついつい見とれてドライバーに声をかけて、会場に入る前にしばし話し込んでいましたが、その後に関係者の駐車場を見渡すと、そのほかにもポルシェやシトロエンなど珍しい旧車がたくさんあって(最初にみつけた車体以外にもBMW 635CSiが2台もありました)なんだか嬉しくなりました。

しかし一旦、展示会場に足を踏み入れると、小型モビリティやキャンピングカーなどからドローンや電車まで、以前とは打って変わって「Mobility」の名の下に幅広い展示があり、関係者駐車場の様相とはまるで違う世界が拡がっているのです。

ある意味では展示の主体側である出展者などの関係者駐車場の車両と、実際に展示している車両があまりに異次元で、カオスと言っても過言ではないような気すらしました。でも少し引いた目で眺めてみると、このカオスこそが現在の国内の自動車関連業界なのかもしれないとも思えてきます。

2020年に開催される予定だった東京オリンピックに向かって、公道で自動運転車両を走らせるために、特定整備に関わるルールが施行されて、レベル3の型式指定を取得したホンダレジェンドが100台だけ、既成事実を作るためだけのようにリース販売されましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、その後の3年間は状況が一変しました。

気がつくと特定整備認証の猶予期間も残りわずかとなり、中古車の総額表示やインボイス制度など、様々なルールの変更も伴いながらビジネス環境が変容し、まわりと同じような取り組みをしていれば、なんとなく過ごせた時代とは変わってしまいました。

ある意味で混沌とした自動車業界を体現していたJapan Mobility Showでしたが、世界三大モーターショーと言われていた以前の東京モーターショーのような活気は、二度と戻らないことだけは確かなような気がしました。

(株)ジェイシーレゾナンス 代表取締役 松永博司
三井住友海上火災保険(株)営業推進部MC推進チーム 企画編集/エーシー企画(株)

カテゴリ:経営

公開日時:2023-09-15 08:00

執筆者:松永 博司 氏

これからのアフターマーケット2030『中古車の総額表示』

 10月から自動車公正取引競争規約などの改正案が承認され、中古車の表示方法が変わります。実際に一般ユーザーが購入するまでに必要となる費用とは乖離した安い価格の表示や、商談時に「保証」や「整備」などの購入を強制するなどの問題点が顕在化し、自動車公正取引協議会では2020年度から販売価格の見直しの検討を開始し、2023年10月から規約などを改正して「支払総額」の表示になります。

 今回のルールの変更は、一般ユーザーに自動車を購入するために必要な総額をわかりやすく表示するために実施されたわけですが、自動車を購入するということは所有者が変わり新しく登録や届け出がされ、新しい車検証が発行される訳ですから、保安基準に適合していることが求められることになります。

 まさしく自動車整備のルールの変更も進んでいるこのタイミングでは、同じ車種でも電子制御装置整備対象車と非対象車が混在しており、保安基準の適合についても正しい知識を持っていないと判断が難しくなっていますので、今回のルールの変更に正しく対応しようと思うと、特定整備にかかわるルールも理解している必要があるのではないでしょうか。

 支払総額とは「車両価格」と「諸費用」の合計であると示されており、この「車両価格」には車両の価格・品質に重要な影響を及ぼす「定期点検整備」及び「保証」を付帯して販売する場合、その費用は「車両価格」に含めることとなっています。この「定期点検整備」の定義が微妙ではありまして、廉価に表示しようと思えば保安基準ぎりぎりの状態でも部品など交換しないで車両価格を表示することができると思われ、予防整備的な観点でタイヤやバッテリー、オイルなどにおいて安全を担保するためにも、保安基準とは別に自社の判断で交換する事業者の販売価格とは差が出てしまいます。

 また、「諸費用」には登録に伴う費用も含むとされており、車検無しの車両を販売する場合は車検を取得し購入者名義に登録をする際の価格を表示することが必要なのだそうです。

 正しく対応しようと思えば、電子制御装置整備対象車の識別を行い、車両の状態によってはエーミングなどの作業も必要になる可能性もあるなかで、保安基準に適合されるまでの費用を算出して、表示することは相当難しいのではないでしょうか。

 様々なニュースが飛び交う中で、自動車アフターマーケット事業者に対する一般ユーザーの目は厳しさを増しています。コンプライアンスの遵守を従業員含め徹底していかなければいけないなかで、いくつものルールの変更が行われていきます。自動車アフターマーケット業界の信頼回復に向けて、正しい情報を入手してしっかりとした対応をお願いいたします。

弊社では9月22日(金)〜23日(土・祝)に仙台でオートアフターマーケット東北を、11月11日(土)〜12日(日)に福岡でオートアフターマーケット九州を開催させていただきます。OBD検査のプレ運用も開始されるタイミングでもありますので、コンプライアンス対応等の情報収集かたがた、ぜひご来場頂ければ幸いです。

オートアフターマーケット東北 2023
オートアフターマーケット九州 2023

(株)ジェイシーレゾナンス 代表取締役 松永博司
三井住友海上火災保険(株)営業推進部MC推進チーム 企画編集/エーシー企画(株)

カテゴリ:経営

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