整備人材の獲得が難しいと言われて久しい昨今ですが、抜本的な対策が見えない状況の中で、特定整備認証やOBD検査のプレ運用など事業環境はどんどん変化しています。

一方で自動車の平均車齢や平均使用年数は着実に伸びており、従来の分解整備領域の対応が多い車両と、安全運転支援装置をはじめユーザーインターフェイスにおいてもデジタル化が進み、電子制御装置整備をはじめ新しい整備領域の知識や設備・技術が必要な車両の混在が進んでいます。

さらにパワートレインにおいてもBEVのみならず燃料電池車両や合成燃料を用いる車両など、多様化していく様相の中で自動車アフターマーケットの今後を見通すことの難しさが増してきていると感じています。

このような背景の中で、従来の業務形態を全く変えずに、いままで同様の人材採用活動を行い、人材教育をしていこうとしているとしたら、いくら高給で人材を募集したとしても意味が無いのではないかと思います。先日、NHKで「おしゃれ」というコンセプトを取り入れて事業の活性化をはかった長崎県の警備会社の話が放映されていました。「ガワをかっこよくすることによって自分もそれに合わせないといけなくなくなるから、ガワをかっこよく変えれば、マインドも変わるんじゃないか」と考えて、様々な取り組みを実践している社長の話で、SNSを活用し若手の採用も行って、6年前に経営を引き継いでから売上を2倍にすることができたそうです。「おしゃれ」をコンセプトに制服のみならず、警備員の動作に至るまで独自の警備スタイルを構築し、社員と共鳴できているところに感心しました。

行政機関も社会インフラとして重要な自動車整備業界の人材不足を問題として取り上げ、様々な取り組みが実践されつつありますが、即効薬が見いだせているとは言えません。これからも慢性的な人材不足が続くのは約束されています。OSSなどデジタルトランスフォーメーションを推進することで効率化も図っていく必要があるのは前提ですが、それが即ち人材不足の解決になるはずもありません。

ますます変化していく事業環境と、これからも進化していく自動車に対応した人材をいかに確保していくのか。さらに現在働いてくれているスタッフの知識や技術・対応力などの高度化を、どのように進めていくのか。

もう先送りできるタイミングではありませんので正面から捉えて、構造的な視点で対応策を検討すべきではないでしょうか。

㈱ジェイシーレゾナンス 代表取締役社長 松永博司

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三井住友海上火災保険㈱リテールマーケット戦略部 MC推進チーム 企画編集/エーシー企画