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残念だったジムニーの辞退

 昨年に続き、今年も検査不正問題に左右された一年になり、そんななかでの日本カーオブザイヤー選考会となりました。2017年は、日産とスバルが辞退。この問題が発覚してから各メーカーは自主的に検査をしたため、本来なら2018年の今年までひきずることはなかったはず。なのに今年もスズキとスバルが辞退という異常事態になり、選考委員のひとりとして本当に残念です。
 特に、スズキの辞退は選考委員のあいだでも大きな衝撃となりました。というのも選考委員のあいだでは新型ジムニーの評価がものすごく高かったからです。もちろん、我々ジャーナリストだけでなくユーザーの関心も高く、自動車専門サイトの編集部に聞くと「ジムニーの記事をアップするだけで、アクセス数が飛躍的に伸びる」ということでした。
 クルマは価格に応じてかけられるコストが異なるため、日本カーオブザイヤーで軽自動車が高く評価されることは少ない傾向にあります。でも、ジムニーだけはこれまでの流れを変える話題性を持っていたのです。夏に新型ジムニーが登場し、試乗した瞬間から、私の「10点」(選考委員の持ち点は25点。そのうち、トップのクルマにのみ10点を投じます)はジムニーでした。おそらく、多くの選考委員がそう思っていたように感じています。日本ならではのカテゴリーである軽自動車が、ついに日本カーオブザイヤーの栄誉を勝ち取るか?そんな期待が高まっていました。

ボルボが二連覇
 今年、もうひとつ残念だったのは、スバルが辞退したタイミングです。スバルでは11月5日の記者会見の内容を受けて、11月9日に辞退を決定しました。でも、私たちが10ベストカーを選出したのは11月7日。この日程は春先には決まっていたのです。でも、スバルは10ベストにフォレスターが選ばれたのちに辞退を決め、最終的に最終選考会は9台で行われることになりました。もしも、5日の記者会見の直後に決断してくれていたら、ほかのクルマが10ベストカーの栄誉を受けられたのにと思うと、なぜこのタイミングで?と思わずにいられません。
 さて、そんな今年の日本カーオブザイヤーですが、大賞はボルボのXC40が受賞しました。昨年のXC60に続き、二年連続の受賞は、輸入車メーカーとしてはもちろん初の快挙です。日本で販売されている台数こそ少ないものの頑なに安全性を追求し、洗練されたデザインや乗り心地は、今年を代表する一台にふさわしく、これからの自動車業界をひっぱってくれる出来だと感じています。ちなみに私の配点は、XC40には二番目の配点で8点。イチオシはトヨタのカローラ・スポーツでした。

 来年こそは、技術者が人生をかけて開発したクルマが堂々とエントリーリストに名を連ね、ユーザーのみなさんに胸を張って紹介できるような一年になることを願っています。


モータージャーナリスト・ノンフイクション作家 岩貞るみこ
企画編集:三井住友海上火災保険株式会社 営業推進部・モーターチャネル推進チーム 
     エーシー企画株式会社